第20話 新しいメンバー、佳織の加入
ポエムの会が順調に活動を続ける中、新しい出来事が起こった。ある日の放課後、いつものように部室に集まっていたメンバーの前に、健太が新しい顔を連れてやってきた。
「みんな、紹介するね。今日からポエムの会に入ることになった佳織さんだよ」
健太がそう言うと、佳織は少し緊張した様子で部員たちに向かってお辞儀をした。
「こんにちは、佳織です。詩を書くのはまだまだ初心者なんですが、みなさんと一緒に勉強していきたいと思っています。よろしくお願いします」
彼女の声は少し震えていたが、真面目な表情が彼女の誠実さを物語っていた。
千草と麗美、佐奈は顔を見合わせて微笑み、佳織を温かく迎え入れることにした。
「佳織さん、よろしくね。私たちもみんな最初は初心者だったから、一緒に楽しんで詩を書こう!」
麗美が明るい声で言い、佳織は少しだけほっとした表情を見せた。
「そうそう、誰でも最初はうまくいかないものだし、自由に自分の気持ちを表現できればそれでいいんだよ」
千草も優しく声をかけ、佳織の緊張を解こうとした。
その日の活動は、佳織がポエムの会の雰囲気に慣れるための軽い話し合いから始まった。健太が「自己紹介も兼ねて、簡単な詩を書いてみよう」と提案し、全員がノートを取り出してそれぞれの詩を書き始めた。
佳織は少し戸惑った様子だったが、ノートにペンを走らせ始めた。他のメンバーが楽しそうに詩を書いている様子を見て、彼女も少しずつ心を落ち着かせていった。
しばらくして、全員が詩を書き終えると、一人ずつ発表することになった。健太が最初に自分の詩を発表し、続いて麗美と佐奈がそれぞれの詩を披露した。千草も自分の詩を読み上げ、最後に佳織の番がやってきた。
「えっと…私はまだ不慣れなので、拙いかもしれませんが…」
佳織は少し恥ずかしそうにしながら、自分が書いた詩を読み始めた。
「初めての風」
初めて吹く風は
私の心をざわめかせる
新しい場所、新しい出会い
その風は、私をどこかへ運んでくれるのだろうか
怖さと期待が入り混じる中
私はそっと足を踏み出す
その風が、私を前へと押してくれる
新しい世界へ、優しく包み込むように
読み終えた佳織は、緊張しながらメンバーたちの反応をうかがった。しかし、すぐに温かい拍手が響き、彼女は少し驚いた表情を見せた。
「すごく素敵な詩だね。初めての風という表現が、佳織さんの新しい挑戦をよく表しているよ」
千草がそう言うと、佳織は頬を赤くしながら微笑んだ。
「ありがとう…みんなが優しくしてくれるから、少しだけ勇気が出たんだ」
「私も最初はすごく緊張してたけど、詩を書くことで気持ちを整理できるようになったよ。これからも一緒に書いていこうね」
佐奈も笑顔で声をかけた。
「そうだよ、佳織さんの詩にはすごく優しさが感じられるし、これからもっといろんな表現ができるようになるよ!」
麗美も元気に励ました。
佳織はそんな仲間たちの温かい言葉に支えられ、ポエムの会に入ったことを心から嬉しく感じていた。彼女にとって詩を書くことは、まだ始まったばかりの挑戦だったが、仲間と一緒に成長していけるという期待が膨らんでいた。
その後も、ポエムの会は日々の活動を続けていた。佳織も少しずつ詩を書くことに慣れ、メンバーたちとの交流が深まっていった。詩を書くことで自分の気持ちを表現する楽しさを知り、新しい世界が広がっていくのを感じていた。
ある日、佳織は千草に打ち明けた。
「千草ちゃん、私ね、ずっと自分の気持ちを言葉にするのが苦手だったんだ。でも、このポエムの会に入って、少しずつ自分を表現することができるようになってきた気がする」
「そうだったんだ…でも、詩を書くことで自分の心が整理されることってあるよね。私もそうだったから、佳織さんがそう思ってくれるのはすごく嬉しいよ」
千草は優しく答えた。
「ありがとう、千草ちゃん。これからも頑張って詩を書いて、もっと自分の気持ちを伝えられるようになりたいな」
佳織はそう言って、未来に向けて自分を成長させていく決意を固めていた。
佳織の加入により、ポエムの会はさらに活気づき、新たな仲間と共に詩作を楽しむ日々が続いていく。詩を通じてつながる仲間たちとの絆が、ますます深まっていくのを千草は感じていた。そして、これからも一緒に成長し続ける仲間たちと共に、新たな挑戦が始まる予感がしていた。
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