女子高生、女魔王の妻になる
あかべこ
第1話
逢魔が時の空からふわりと落ちてきた1人の美女に目を奪われた。
黒髪の隙間から真っ黒の巻き角を見せた漆黒のドラゴンの翼と尻尾を持つ端正に整った美女は私の目を覗き込みながら微笑むと
「君が私の妻になってくれるならこの世界を滅ぼさないであげる」
「……はい?」
「今はいって言ったね、じゃあ今日からよろしくね」
それが私がこの世界の夜の覇者の妻になった瞬間であった。
****
私が求婚された日のちょうど正午過ぎ、世界200の都市に突如謎のゲートが現れた。
ニューヨークの国連大会議室のど真ん中に現れたゲートからは、黒髪の隙間から真っ黒の巻き角を見せた漆黒のドラゴンの翼を持つ端正に整ったひとりの美女だった。
『
あらゆる機械兵器を無効化し大都市を壊滅まで陥れるほどの魔法という力を見せつけると、日が沈んでから日が昇るまでの時間を自分たち魔族の領域とし魔族の行動の自由を保障させる代わりに人間との不可侵条約をその場で締結させた。
そのたった数時間後に彼女は私を見つけたのだ。
(昼休みのスマホニュースで聞いてはいたけどまさかこんなことになるなんて!)
「さて、結婚を承諾してくれた事だし名前の交換と行こうか。私は俗名をディア、真名をディアボロスと言う。君の名前は?」
これで断ったら大変なことになりそうな気がして震える声で自分の名前を告げる。
「……山里恵奈、です」
「恵奈、私の名前を呼んでくれる?」
「ディアボロス、さん?」
その瞬間、どこからともなく赤いバラの花が落ちてきた。
バラの花が私の体に落ちてくると左手に蔓バラが伝うようなあざが私と彼女の体に現れたのである。
「これで私達の結婚は成立した。今日からよろしくね?」
「急に結婚と言われても何をどうしたらいいか……」
「まずは同居かな、恵奈にも生活はあるし拠点は近くに作ろう。人間は家族を大事にするから恵奈のご家族にもしっかりご挨拶に行って許可を取ろう。
こっちの世界は法律が面倒だけどまあ魔族専用の法律をこちらに持ち込むから心配はいらないね」
ディアボロスさんがニコニコと微笑みながらそんな事を言う。
もう何もかもがめちゃくちゃで思考が追い付かず呆然とする私に対して、ディアボロスさんは私に手を伸ばした。
「妻になった記念に、手を繋いでくれる?」
よく分からない事が多すぎるけれどそんな風に彼女が言うのは悪い気がしなかった、
女子高生、女魔王の妻になる あかべこ @akabeko_kanaha
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