1話 おはよう


*起きろ


(またいつものコレか……)


 俺は内心うんざりしながらも、まるで俺を叩き起こそうとするかのように、大きく書き殴られ、宙に浮かび上がった文字に触れる。


 そうすると、頭の中に映像が流れ込んでくる。いつものことだ。


そこには……



(あ、そうだ入学式!!こんなことしてる場合じゃないッッ!!!)


 慌ててベットから飛び起きる俺、時間は……

6時半か、距離的に普通に自転車に乗って学校に向かえば余裕で間に合う。


「ーーーお兄ちゃん?起きたのー?」


パタパタと階段を駆け上がる音がする


「結構おっきな声出してたみたいだけど....」


ガチャッ


「ご飯できてるから早く下で食べ……おぉ……」


妹が少し驚いたかのような表情をし、口を小さく開きながら俺の頭上を見る


「……?」


「カブトムシだ……」


「は?」


俺の朝の第一声がそれだった

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