もう彼の眼は笑ってはいなかった。
「俺を
「坊ん……」
真っ直ぐに俺達を見つめて。
たった十五の少年の口から紡がれる、鮮烈な、覚悟。
歴戦の松下の叔父貴すら、言葉を無くす、確かな輝きを放つその、【威勢】。
…本当に、末恐ろしい。
「…
「…はい」
「『卑怯な馬鹿野郎共に自分の親父を侮辱されて、逃げ帰るような弱い子どもなら、はじめからここには来てねえ』、か。後で、
「やめてくださいよ、松下の叔父さん。親父に
また笑顔になる龍哉さん。
くるくると変わる表情。心を許すものの前ではこんなにも変わるのか、そう、思わせる。
その一人の中に自分が入っているのだろうか…。
信じられないけれど。
思うと、心の、どこかいちばん柔らかい部分にそっと触れられたかのような苦しさを感じ、押し込め、凍らせた筈の自分にまだ苦しさや痛みを感じる情が残っていたのかと驚かされる。
それが苦しさではなく、もっと複雑な
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