♯2

 あたしは現在いま、片想いをしています。

 親会社から出向してきた上領かみりょうなおさんに……。

 ただ、彼には〝ある噂〟があって。

 恋愛対象が女性だけでなく男性もOK──俗に言うところの二刀流・・・であるらしいのです。

 いくら魅力的な彼でも、そんな話を聞いてしまうと、どうしても弱腰になってしまう。

 だからずっと、告白できずにいました。


「……あいわかった」


 カフェの1人掛け席で隣り合う神様が、両腕を組んだまま静かにうなずく。

 ちなみに神様は無一文だったので、Sサイズのホットコーヒーを奢ってあげました。


「その恋、このオレが成就させてやろう」

「えっ? ホントですか?」

「オレはロマンスの神だ。貴様の恋心をこのこぶしに込めて、そいつの土手っ腹に叩きつけてやるッッッ!!」

「ちょっと待ってくださいよ! 拳ってなんですか!? 可愛らしくハートの弓矢とか恋の魔法とかじゃないんですか!? 物理なの!? 物理攻撃なの!?」


 神様は闘争本能全開で、指鳴らしまで始めます。

 本当にお願いしちゃって大丈夫なのかな……。

 かなり不安ではあるけれど、藁にもすがる思いでコイツに任せてみることにしました。


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