第13話 五里霧中

………目が覚めると、戦いはいつの間にか終わっていた。


幸介こうすけあおいがあのあと頑張ってくれたんだなぁ…」


そんなことを思いつつ、立ち上がろうとするが、


「痛っ…」


攻撃を受けた左腕は勿論もちろんのこと、き飛ばされた衝撃しょうげきで足が折れていた。


そんな限界の身体を動かして、洞窟どうくつの外へ出る。


葵はなにか考え込んでいるようで、後ろをとぼとぼと歩いている。


「君たち大丈夫だったかっ…!?」


洞窟の外にはヒューベルクさんの姿があり、一気に安心できた。


ヒューベルクさんが手配してくれていた馬車に三人とも乗り込み、近くにある病院へと運び込まれた。


葵はほとんど無傷。幸介は重症までには至らず、今は病床びょうしょうで寝ている。


少し体力が回復した僕は町の医者と今日の一連のことについて話していた。


「へぇ…そんなことがあったんですか…」


とさらに付け加えるように、


「しかしまぁ…左腕が折れた状態でよく受け身が取れましたね…あなたの話から察するに左腕と足だけで済んだのはキセキですよ…」


やっぱりさすが冒険者だなぁ〜と医者はみょうに納得していた。


何か変だなと少し感じたが、まぁ僕ら自身がこのゲームのバグみたいな存在だし、何かしらバグってダメージ判定がたまたまなかったのだろうと結論付けた。




病室に戻ると、


「よぉ!幸介。あの戦いはやばかったなぁ〜」


「本当に危なかったよ…」


といつもどおりの幸介がそこにはいて、場が和んでいる。


しばらく世間話や馬鹿話を三人で交わした。


「ところでさ」


幸介は話題を転換して、


「紫色のポータルってあった?あのあとあんまり記憶がなくて…」


「僕もすぐやられたから、わからんのよなぁ…」


あとは葵が見ているかどうか…もしポータルがあれば、まだ帰れる手立てがあ…


「いや…なかったよ…」


僕の思考にかぶさるように葵が呟いた。


つまり、ポータルは洞窟の中にあるわけではないということがわかったが…


「…」


「…」


「…」


「やっぱりないかぁ…そう簡単に見つかるわけないもんなぁ…」


幸介の大きなため息が静寂せいじゃくとした病室に響く。





「あの洞窟にないっていうことがわかったけど、これからどーする?」


「もう一回行くのはありだけど、かならずあるわけじゃないし…それに敵側は相当手

強いし…」


「「「うーん…」」」


病室で三人が頭を悩ませていると、ヒューベルクさんがお見舞いにやって来た。


「体調はどうだ〜?美味しいフルーツ持ってきたぞ〜」


「フルーツっ!?」


葵が真っ先に反応して、ヒューベルクさんの元へ駆け寄る。


「”みや”めっちゃ新鮮そうで美味しそうだよ!」


ぶどうやみかんやさくらんぼと言ったようなフルーツを手にして、嬉しそうにこちらにやってくる。


ヒューベルクさんもこちらへやってきて、幸介の病床を取り囲む形をとった。


「ところでさっきまで何の話をしていたんだ?」


「あぁ…えーと…」


僕らが転生者であることを伏せつつ、あるものを探しているとにごすようにして、今日の出来事について話した。


「なるほど…でキミらは次どこへ行こうか決めかねてるって感じかな…?」


話が早くて助かる…けど、エスパーかなってくらい察しが良くて若干怖かったりもする。


「うーん…そうだなぁ…欲しいものが何かわからないけど、1番の図書館なら何かあるんじゃないか?」


確かに…ネットがないここでは、情報は図書館に行くのが最も手っ取り早いよな


「さすがヒューベルクさん!」


「ところでその図書館はどこに…?」


「えーと…確か…」


ヒューベルクさんはflappatを取り出し、地図を表示する。


「ここだなぁ〜」


と町から少し遠いとある都市を指差す。


「ココって確か…」


<あとがき>


小説をいつもありがとうございます。

作者こときりむぎです。

誰かさんに感化(?)されて始めてみました。

完全に初心者なので(文章書くのは読書感想文以来…)

読みにくい箇所かしょ等々あっても大目に見て頂けると幸いです。


週2~5投稿予定です。(ほぼその日の気分次第…)

次回作もお楽しみに!!


☆☆☆

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