檻と称したのも理由がある2
前章の続きで1日目の話だが、何も知らされていないのでずっと部屋で過ごしていた訳ではない。部屋の外の共用トイレも行ったし、大広間にも行ってみた。大広間には掲示板があり、患者の名前の確認をすると言う告知ポスターや、迷惑行為の禁止の張り紙があった。他にも、保険適用外の料金表とか、病院での出来事(まぁ、医師、看護師が患者に暴力をふるったとか、ハラスメントがあったとか、悪い事)を訴える行政機関の連絡先とか、病院でしか見られないものが多かった。
そして、サンロクの月間スケジュールや週の催しが書かれた物も無事発見したのである。これらを見る限り、風呂は火、木、土の週3で、火、木は午前は男性、午後は女性となっており、次の週は時間が逆になるようだ。また、土曜は午前を2つに分け、片方の時間が男性、もう一方が女性、次週は逆となっている。
他にも、平日には催しが開かれていて、毎週火曜に音楽を聞いたり、木曜は創作活動したりと、毎日何かしらやっている。また、病棟外で行っている活動もあり、それらにもいくつか参加をしてみた(またそのうち書くか)。
これら以外の情報も病棟着を持って来てくれた看護師に聞いたりして、分かったことは次のとおりである。
1日のスケジュール
6時 起床
7時半 朝食
12時 昼食
17時 夕食
22時 消灯
それ以外の時間は自由時間であり、病室で過ごしても良いし、大広間に居ても良い。また、自由時間に先ほど述べた催し(音楽を聞いたりするやつ)が開かれているが、これに参加するかどうかも自由である。
まぁ、自由なのは結構なのだが、このスケジュール、とにかく時間が早いのである。起床六時はしている人もいるだろうが、多くの人が早いと感じるだろう。実際、我輩も起きるのは七時二十分頃で、起きてすぐさま朝ごはんって感じだし。(実は、自由時間も寝ていいので、我輩は朝ご飯を食べ終わった後にまた寝てる。)
だが、それ以上に早いのが夕食。
17時だぞ!? 午後5時だぞ!?
人によっては、おやつ~と言いながらポテチとか食べてる時間だぞ!?
まぁ、出された食事は全て食べれるが、と言うか毎食物足りないが、夕食の時間が早すぎるせいで、夜中にお腹が空いてしまう。是非とも、病院には
21時 夜食
の追加を検討していただきたい。
だが、まぁ、そんなこといくら願おうとも叶わないので、仕方なく持ち込んだお菓子で空腹を誤魔化している。
と、まぁ、そんなこんなでサンロクのスケジュールも何とか把握できたので、あの独房みたいな部屋に戻るとしよう。重くない金属の扉を開くと、午後の日差しが部屋に差し込んできている。折角なら、直接太陽を拝みたいものだ。窓でも開けるか。
あぁ? 鍵がかかってない、不用心な物だ。
ガッ ガッ
二度も窓を開けようと試みたが、開く気配が一向にない。何故だ? と思って窓枠をよく見てみると、レールが無い。そう、この窓、はめ込み式で動かないのである。そりゃぁ、鍵なんかかかってなくても、何の問題もないな。
だが、すりガラスで外の風景もロクに見えない窓なのに、開けることも出来ず、空気の入れ替えも風を部屋に入れることもできない。まさに閉じ込められた空間。
刑務所でもここまでするか? と思いながら、仕方なく、ベットに入る。ふと見上げた天井には、黒透明色のドーム状の物体がぶら下がっているではないか! しかもよく見ると、レンズのような物もついてる。もしかしなくても、監視カメラである。
そう、我輩、この部屋にいる限りずっと監視されているのだ! プライバシーも減ったくれもない。まったく、どうなっているんだ!?
と、こう書くと病院が悪者みたいになるが、この部屋がこんな悪辣な環境であるのも理由があり、窓については転落(飛び降り自殺)防止のため。カメラも、患者が室内で暴れたり自傷行為をしていないか確認するため、らしい。
理屈は分かるが、まぁ、されている方は気分が良いものではない。比肩するものを頑張って探さねばならぬほどの密室感と監視下。やはり、この部屋は独房、そしてサンロクは刑務所の檻と称しても良いのではないだろうか。
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