第21話

「御前がッ…母さんをッ!

 母さんじゃなくて、御前が死ねば良かったのに!!」


 ビシィッ!!


「!!

 あ゙…やめて……!」


 ビシィッ!!


「……私とした事が…血迷うにも程が有る……


 弓の馬毛が、台無しだ……」


「………」


 凪は、握った弓の状態を、忌々しそうに確かめると―哲には目も呉れず、己のヴィオラと共に、自宅に設けた楽器練習室から出て行った……。


「……ゔ……」


 独り取り残された、傷だらけの哲…彼がフラリとち上がった時―ドアから彼の姉・英が顔を出し…大きな溜息をいた。


「…あねえ…又?」


「………」

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