第20話

 今の御前おまえ位の時は、父さんと重奏出来たぞ?」


「………」


 哲の父親・凪は、ヴィオラの弓を手にする―


「言い訳も尽きて、だんまりか?

 どうして御前には、意気地が無い!?

 だから御前は、駄目なんだ!!」


「…あ゙…ごめ―」


 少年の哲が、慟哭する事すら許さず―


 ビシッ!


 凪の弓は、彼を尻から打ち据えた。


「ごめんなさいッ!」


 ビシッ!


「次はッ…ちゃんとッ!」


 ビシッ!


「だからッ…ゆるして下さいッ!」


 ビシッ!


 床に這いつくばった儘で哀願する哲に、容赦無く振り下ろされる弓…


「このッ…能無しがァッ!!」


 ビシッ!


「…父さんッ…!?」


 ビシッ!

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