第5話

 肩にスイムタオルを掛けた螢河は、ショートカットにした黒髪を軽く手櫛で整えながら、辺りを見回し―ポツリと呟いた。


「ここ迄、人が居ないなんて…珍しい―」


 間髪を入れず―せんの後輩が、色めき立って答えた。


「来てるんですよ!?

 今日…


 体育館に、『ヘルメス』さんが!!」


「え―」


 驚く螢河を尻目に、いそいそと帰り仕度を始めた教諭も、口を開く―


「オールラウンドに演技が出来て、G難度以上の技を、事も無く繰り出せる…

 西古さいこ先生が冥應うちに欲しがるのは、無理も無いな?」


「………」

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