第16話

 この御店にも、もう…

 来られなくなります……」


「……」「……」


 そして―


 少年・夏生は、中学校を卒業する前に、花屋の夫婦・香澄夫妻に引き取られた。


 子供に恵まれなかった彼等は、彼を養子として迎え入れ、後継者として育てようと考えたのだが―彼に、固辞されて仕舞った。


「御主人には、もっと相応しい方が見付かりますよ?」


「勉強するより、仕事を覚えたいから…!」


「住込させて戴いてるのに…

 自分で何とか、遣繰やりくりしないと!」


 育って来た境遇故に、夏生は香澄夫妻とは一線を画し続け…

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