第15話

 愛おし気な表情かおで、ショーウィンドー越しに花々を見詰めている、学生服姿の少年に、花屋の夫婦は気付いていた。


 初夏に入った或る日、彼等は初めて、彼に声を掛け―


 その時から彼等は、言葉を交わす様になって行った……。


「槐 夏生です…」


「まあ…

 貴方にぴったりの名前ね?」


えんじゅの樹の下に、棄てられてたそうなんで…


 でも僕は、この名前、嫌いじゃありません」


「御免なさい!?


 じゃ、貴方は…」


「はい…

 中学を卒業したら、児童養護施設ホームと関わりのある、町工場に就職する事に……

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