第121話

 天降が独り、ステージ上で仁王立ちし、叫んでいる……


「!?

 和嶋先輩―」


「行っていいよ?

 唯…


 天降のピアノを、信じるな……!」


「先輩―」


「聞こえないのか!?

 明良!!」


 再び声を上げる、天降―


「はい!!」


 和嶋が云い掛けた言葉の続きが気になりながらも、明良は和嶋に会釈して、ステージに上がった。


「失礼しました……


 何でしょうか?

 天降先輩」


「第六曲…

 一寸、弾いてみろ?」


 天降が明良に、指で楽譜を示す―


「えッ?」


「ほんの、20小節だ…

 初見で行けるだろ?」

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