第118話

 ヴァイオリン奏者の一人・西風が、ドアから出て行くと―ヴィオラ奏者の淡海も、スッと席をった。


「Me too…


 頑張れよ?

 明ちゃん……」


「うん、哲ちゃん……」


 背中越しに右手を上げる、淡海を見送り…明良は、ステージを顧みた。


 コントラバス奏者のあまねが、メインパートの音を、紡ぎ出している……


「そうだ…

 その音を、俺に寄越せ……


 響かせてやるよ…

 俺の音で……!」


 己の奏でる音に陶酔し…恍惚の表情を浮かべる天降……


「……奏ちゃん……」


「周君…

 天降に、負けてないな……

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