第108話

 『坊っちゃんの芸事げいごとの延長』なんて、悪様あしざまに云われた時期も有ったけど…


 今は、どうだ?


 この俺の、この指先に…

 誰もが、惹かれる……


 そして…


 この俺の為だけに、踊るのさ!


 フフフフフ……」


「先輩……!」


「……御前だって、例外じゃない……


 俺のピアノの、鍵盤に触れるたび


 俺の演奏を、反芻しては、咀嚼してるんだろ?」


「!

 それは…先輩のピアノが―」


「ハン!

 矢っ張り、御前は…ピアニストとしては、足りない人間だったな?


 そう…


 足りないんだよ?

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