第97話

 己が所有する邸宅の寝室で、天降は琥珀色のブランデーグラスを、独り傾ける……


「理律夫にくっ付き回ってる、ウザいチビだった筈が……


 あいつの超絶的な、指使い(フィンガリング)…

 嫉妬しちまうよ……」


 彼は、グラスの酒を呑み干し―サイドテーブルにグラスを置いて、呟いた。


「御前は、兄貴と違って…賢明だったな?

 フフフッ……


 ピアノを選んでたら…

 その指、潰れてたぞ……?」


 明良の純粋な敬慕を嘲笑い…


 誰も知り得ぬ魔性の表情かおあらわにする、天降……


 ♪♪♪♪~♪♪♪♪~…

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