第95話

「……ちょ…

 『亡霊』って…


 まさか、お義兄にいさんの事……?」


「……うん…

 『呪い』とか、非道ひどいよな……?


 でも……

 天降先輩が、僕に其処迄高飛車に出るのは…僕を奏者として、意識して下さってるからだと思う……」


「サクノ……」


「実は、兄さんにも…

 無かった事で、忘れて…『白鳥』を弾いてくれって、云われてる……


 確かに…『動物の謝肉祭』の演奏だけを、拒み続けるなんて…

 プロのチェリストが、取る可き態度じゃない……!」


「……分かるよ……


 サクノは…

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