第54話

 しかし、それから間も無く―更なる無慈悲な現実のやいばが、突然彼等に突き付けられた。


「チッ…

 喫煙所、遠過ぎだっての(苛)」


「パパ―」


「~オマエの『パパ』ぢゃねーってばよ(憤怒)。

 たく、女ってヤツは…つっまんねーな!?」


有人あると…」「パパ…」「……」


 妊婦の夫とおぼしき、一見して素行の良からぬ若い男…

 彼は、クチャクチャと音を立ててチューインガムを噛みながら、大儀そうにサンダル履きの足をブラブラさせ、両手をハーフパンツに突っ込むと、妊婦に云った。


「ちょっくら、遊んで帰るわ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る