第38話

 明良の小さな手に、手袋を通して伝わる、理律夫の手の温もり…


 更に巫琴の優しい手が、ポン、ポンと、軽く明良を宥める様に、ソッと彼の肩を叩いた……。



 それから―幾多の時間ときが、様々に流れて行った。


 理律夫は、三級ピアノ調律技能士試験に合格し…河原が経営する楽器店に就職して、ピアノ調律師としてのキャリアをスタートさせた。


 しかしながら、当初は―彼生来の大人しい性格が邪魔をして―個人客宅を定期的に回って、メンテナンスをするスタイルで、営業するのが精一杯であった……


 更に―


「ママ!

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