第30話

 両のこぶしを床に叩き付ける、明良…

 驚いた彼の両親が、慌てて彼を止めたが……


「…にいちゃん…

 ごめんよぉ……


 みっちゃん…

 ごめん……」


「…あき…ら…?」


 固く握られた儘の、彼の両手が―虚空で風を切る……


「ころして……


 ころして…ください……」


「明良ァッ!!」


 彼の瞳は―既に、彼の両親を映していなかった……。



 明良は、児童思春期精神科専門病棟に、入院する事となった。


 理律夫と巫琴は退院したものの、復学は儘ならず―転校を余儀無くされた。

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