第12話

 明良は、潤んだ瞳を閉じて、震える唇から、己の想いを絞り出した。


「贖わない、あいつ等!

 あがなわれない、兄さん達!」


「………」


「分かってるよ?

 兄さん……


 僕が、チェロを続けられる様に…

 どんなに兄さん達が、心を砕いてくれたのかは……」


「明良……」


「だからこそ、僕は…

 二人につぐなって行きたいんだ……


 今より、もっと…

 これからも……」


「………」


 明良おとうとの指先が、ソッと理律夫あにの手袋に触れる……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る