第9話

 理律夫は小さく笑いながら、明良の気に入りのチェロの弦を三組、明良に手渡した。


「廃業した店が抱えてた、デッドストックらしいけど…」


「全然、問題無い!

 諦めて、妥協しなくて良かったよ(安堵)。


 僕の『ドイツチェロ三兄弟』には、矢っぱ、これが一番♪


 親父さんには、何か御礼しなきゃだな…?」


「フフフ…

 小父さんは、君の大ファンだからね?


 君が子供の頃から、ずっと……」穏やかに話し出す、理律夫…


「!

 ……」明良は…目を伏せる……


「……サン=サーンスの、『動物の謝肉祭』…

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