第25話 【MOVIE6】○Vデビューからの悲劇

【MOVIE6】


 あれから一ヶ月ぐらいたって、今は6月下旬。

 いつか録った『』動画はなんと……



 現時点で、700となった。



 この時点で察した人も居るだろうが、そのカラクリを言っとくと藍那のやつが「」をカットせずにアップしやがった。


 自分の(藍那の喘ぎ声の)部分はカットして。


 だから、間切、真衣、キヌエの三人はネットの晒し者!って感じになるかと思ったんだが、そうならなかった。



 があった。



 藍那が、という設定になった。


 その制約なら俺も出れるということで、(性別が分からないように全身編集済みだけど)。


 今まで散々非難されてきた俺だったが、仮面をつけたことで、ポジティブなコメントが来てビックリした。


 天変地異が起きたのかと思って半信半疑ながらも、嬉しかった。



 今日は超ヒット記念パーティとやらをするらしく、お呼ばれされた俺と真衣はあの巨大ビル、マーキュリーへ向かっている。



「パーティ楽しみです~」

「そいつは良かったな」



 ……俺はちょっと不安だ。 またこき使われそう。



「あっ! 家に忘れ物をしてしまいました~!  取りに帰らなければなのです~」


「忘れ物? 別に、持ち物とか無かった気がするぞ」


「にーにはバカなのですか?」


「えっ」


「……パーティ行くのに何も持ってかないってKYすぎません?」


 KYか!?

 パーティとか行ったことねえからよくわかんねーや。


「真衣は何を持ってくつもりだったんだ?」


「パン耳のかき揚げドーナツです~」



 …………。



「……あのさ、。 それはやめとこうぜ」



 パーティなんて行ったことない俺でも、



「どうしてですか?」



 キョトンと、俺を見つめる真衣。


「そういうのはさ、あいつらの口には合わないっていうかさ、たぶんとかに困るっていうかさ。 ドーナツなら、オン・デ・リングでも買ってこうぜ、な?」


「……にーには、どうしてそんなこと言うのですか」


「あいつらにされて、なんか見たくないからだよ」


「……そんなことないのです。 ……何かされないです。 ……みんな、食べてくれるのです」


 下を向いてうつむく真衣。

 真衣のこんな悲しそうな面、初めて見た。


 けど、だったら尚更だよ。ここで俺が止めてやらなきゃ、もっと傷つくのは真衣だ。


!  


 なんだそりゃ......嘘下手だな......俺。


「だから、真衣。! !」




「……にーにはどうしてそんな白々しい嘘つくのですか」




 ちっ、ここで諦めてくれるのが最善だったが……



。 パン耳持ってって、仮にあいつらが喜んでいるように見えても、と同じことだ」





「真衣は、そんな言われても嬉しくないだろ」



「……




  パシン




 真衣に思いっきし、ビンタされた。




「あーもう勝手にしろよ。先、行ってっからな」


 * * * * * * *


 マーキュリーのパーティールームに着くと、間切&キヌエが藍那に問答していた。



「「藍那! 早くけして(けせ)!」」



「やーですよ、で喜んでくれる人だってたくさんいるんです」



「「)はV!」」




 ……マーキュリーのパーティルームについてから4時間たった。



「真衣ちゃん、遅いですね」



「真衣はうちのそーるめいと! もうじき来る!」



「忘れ物って何取りに帰ったのよ。いくらなんでも遅すぎ」



「……知るかよ。それよりキヌエ! デレジャンで協力プレイしようぜ!」




 その時だった。



  ピロ



 俺のスマホが鳴る。からの着信だった。



「はい、もしもし」



「こちらのものですが……」

――――――――――――――――――――

あとがき

ワンポイント秘話


真衣「パン耳ドーナツは絶対美味しいのです」


結「たしかに、油の質を良いのにしてザラメを使うと美味いのは美味い」


見たい」「藍那、動画に出るべき」「読者も編集参加して無編集で見たいです!!」

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