第21話 【MOVIE5】神崎○んK

俺はJC二人からコーラをぶっかけられた。


一部の人達はこういうのをご褒美というらしいが、何がご褒美なのかよく分からない。


そんなことを考えていたら、キヌエに声をかけられた。


「結人!」


「どうした、キヌエ。」


「デレジャンのフレンド登録しよう!」


「……悪い。 デレジャンはもう辞めたんだ」


「何故だ! 貴様と我は愛を競い合った仲ではないか!」


……台詞がちょっとエロい。


「どうしても金と時間が必要になって、誘惑になるから断ち切ったんだ」


「貴様をデレジャンから断ち切るほどのものってなんだ?」


「そんな大層なものじゃないよ。バイト、スーパーのバイトだよ。」


「スーパーだと!? 貴様ああああああああああああ」


「えっ??」


「決闘だ!」




―――――キヌエと決闘することになった。(謎)


俺たちは休憩所から、水深30cmほどの子供用プールへ場所を移した。


「ルールはキヌエスペシャルルール、手加減無し。良いな?」


「良いぜ。決闘つーなら女だからって、一切手は抜かないからな」


「デュエル開始の宣言をしろ、真衣!」




「デュエル開始~」




結人の装備 :水鉄砲タイソー、ビート板、水風船」


キヌエの装備:水鉄砲タマゾン、??』




『くらえ! 水遁 水銃弾の術!』


キヌエはでっかい銃を持つと、水鉄砲を撃ってきた!


……水のあるところでこれほど水遁を……。


こっちも水鉄砲だ!


(シュッ)


(ちろーん)


俺の100均水鉄砲は威力がなさすぎる……。


「くそっ! 相殺できねえ!」


『驚いたぞ、同じ術を使ってくるとは! その赤い瞳、チャリンガンか!』


チャリンガン?


ちげーよ。睡眠不足とコーラが目に入ったせいで充血してんだよ!




くっそ!押し負ける!




<パアン> (水しぶき)




『……やったか?』


「その台詞のあとに、やってたことがあったかよ」


俺は水しぶきから姿を見せる。


『そ、そうか! 水鉄砲本体を盾に……!』


『くそっ!もう一発、水遁 水じゅ―――――』


「おせえよ! ビー遁!させん手裏剣!」


俺はビート板をぶん投げてやった。




<ゴン> (キヌエの銃が吹っ飛ぶ)




「勝負あったな。そんなバカでかい銃、すぐ連射出来るわけねーんだよ」


『……まだだ』




バヂヂ




「なっ!?」


黒いボディ、横に広がる銀色の金属、間違いねえ。あれは……


「スタンガン使うなんて反則だろ!!」


『スタンガン? な、何を言っているんだ、これはただの黒いゴーグルだ!』


「だったら、そいつを目にあててみろ!」


『こ、これは護身用のゴーグルなんだ!』


……そんなゴーグル聞いたことねえよ!




残る俺の装備は水風船のみ。




―待てよ。水風船の材質は……。




(シュン) (シュン) (シュン) (シュン) (シュン)(片手の上で片手を動かす)


『その術は水風船の時点では第一段階の未完成技だったはず……』


(シュン) (シュン) (シュン) (シュン) (シュン)


『水風船も割りさえしない、未完成技で我が倒せるか!』


「ちげーよ、てめえにはこれで十分なんだよ」


『それは我が半人前だって言いたいのか!!』


「ああ、そうだよ! この蟹野郎!」






キヌエェェェェェ!!


ユイトォォォォォ!!




させんがん!!


ちろり!!




<パァン> (水風船がスタンガンを弾き飛ばしながら破裂)




「あめーぜ! ゴムは電気を通さねえんd―――――って」


吹き飛んだ水が、キヌエの服にかかって透けた。


「お、お前何で着けてねえんだ!」


『……何を言っているのだ?』


「見てみろよ、自分の格好を」




キヌエはノーブラだった。




『い、いやああああああ』


『償え償え貴様ああああ』


「嫌なら見せるな!」


『見られたからイヤなんだ!』


「俺だって見たくて見たんじゃねーわ!」


……見てよかったとは思うけど。




『ちゃんなろー!』


<ゴッ>











「……ん」


「起きたか」


「……ああ」


目を覚ますと、プールサイドのベンチの上にいた。


もっというと、キヌエの膝枕の上に居た。


キヌエの服装は変わっていて、タンキニというやつだろうか。露出度の低い水着に着替えていた。


「その……悪かったな」


そう言うと、俺は身体を起こす。


「いや、我も悪かった。」


「その……さ、何で着けてなかったんだ?」


「我は……餡子になれない……」


「……何言ってんの?」


「我は餡子で、餡子にならなくちゃいけないんだ!」


…………全く意味分からねえ。


「じゃあ、さ。スーパーって言ったら、あんなしキレたのはなんで?」


「実は、我の家は豆腐屋なのだ。だが、ある日アリオとかいうヨーカドーもどきのゴミ害悪スーパーが出来たせいで店が潰されそうになってしまったのだ」


……あーね。


スーパーという単語に反応して俺に八つ当たりしたと。


「経営が苦しくてユーチューバーなんてやってるってことか?」


「合っているが……違う。」


キヌエは言った。


「実は我の趣味はコスプレでな」


……それは見りゃ分かるけど。


「コスプレをして豆腐を買ってくれた人には写真を撮らせるサービスをしていたのだ」


「それとユーチューバーと何の関係があんだ?」


「店番をしていたある日、ある女に喧嘩を売られてな。そんで、ユーチューバーを勧められた。」


……あー。なんかもう想像ついたわ。


「大変だな、お前も。」


「けど、ユーチューバーになったおかげで店の売上は増えたのだ」


「えっ、ユーチューバーと豆腐屋何か関係ある?」


「餡子のコスで豆腐を作る動画を投稿したら、店に来てくれる人がすごく増えたのだ」


「餡子のコスで!? なにそれ、見たい!」


「ほれ」


キヌエがスマホで動画を開くと、餡子の姿で、声で、豆腐を拵えるキヌエ、というかほぼ餡子が映っていた。


当たり前といえば当たり前だけど、餡子そっくりで可愛かった。


「なんつーか、すげー餡子してんな」


「……そうか」


……何か反応が塩い。


上手いこと機嫌を良く出来ないかな。


さっきの俺はちょっとばかし、卑劣なことを言ってしまった自覚あるし。


「そのさ、豆腐買ったらコスの写真取らせてくれるってのは今も健在か?」


「……健在だが」


「今度、真衣と一緒にでも豆腐買いに行くからさ。撮らせてくれよ、写真。」


「……ああ、そーだな」


相変わらず塩い。


……キヌエの機嫌は良くならなかった。

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