第14話 【MOVIE3】ヒカ●ソもやってる方法
そんなこんなで俺と藍那は謝罪動画のサムネを作り終えた。
「今度こそアップしていいか?」
「はい、大丈夫です。まだすることがあるのでタイトルはいじらないででください」
俺は動画を
「すること?」
「タグ付けです!」
「タグ? 服買った時についてるあれか?」
「大本の意味は同じですね。タグとは直訳で札。 物を分類するときに使う言葉です。」
「動画を分類するってことでいいの?」
「結人くんにしては珍しく察しがいいですね」
何だよ珍しくって。 普段の俺は察しが悪いって言いたいのかよ!
「そ、そうか? で、そのタグはどうやってつけりゃいいんだ?」
「今、アップしたページの下の方にタグってありますよね? そこに好きなタグを入力するんです」
「何を入力すればいいんだ?」
「基本的にはタイトルとの一致、それと関連させる動画と同じタグにするべきですね」
「タイトルとの一致は分かんだけど、関連させる云々って何だ?」
「例えば、タグに
『ヤムチャ』『日番谷』『カカシ』『カストロ』『森崎』と入れた動画A
『悟空』『一護』『ナルト』『ゴン』『翼』と入れた動画B
『悟空』『一護』『ナルト』『主人公』『かませwww』と入れた動画C
の3つの動画を投稿したとします。
動画Cの関連動画に出やすいのは、動画Aと動画Bどっちだと思いますか?」
……チョイスに悪意を感じる。
「Bか?」
「正解です」
「動画Aが動画Cのタグに一致した数のは0/5、対して動画Bが動画Cのタグに一致した数は3/5。一致した比率が高いほど関連動画に表示されやすくなるんです。文字単位で認識されるので、『主人公』や『かませ』はアルゴリズムは一致しません」
「ってことは……間切の動画の関連動画に、俺の動画がでないといけないわけだから、間切の動画と俺の動画のタグを同じにすればいいわけか」
ピタッ
突然、藍那が俺のおでこに手を宛ててきた。
「熱でもあるんですか!? 今日の結人くん冴え過ぎです!」
「ね、熱なんかねーよ。元から俺の頭は冴えてんだ」
そう言うと藍那の手をおでこから離した。
「じゃあ、今すべきなのは間切の動画についてるタグを知ることだよな」
「そういうことになりますね」
「どうやったら間切の動画についてるタグを知れるんだ? 本人に直接聞くわけにもいかないし」
「ソースの表示してCtrl+Fから検索すれば知れますよ」
「それ何語!?」
「ま、今回はそんなことする必要無いです。ボクともも様はアカウント共有してるので」
そう言うと藍那はYouTubeを開いてログインし始めた。
「もも様の動画のタグはこれですね」
モニタに目を見張ると『間切』『こもも』『こももちゃんねる』と表示された。
それを見た俺は、自分の動画のページに全く同じタグを入力した。
「……バカなんですか?」
藍那が間切ばりのゴミを見るような目をして睨んできた。
「今日の結人くんは冴えてると思いましたけど、気のせいでしたね」
えっ? タグ同じにすりゃいいんじゃなかったっけ?
「いきなりそんなことをしても、もも様の動画の関連動画には表示されないですよ」
「何がダメなんだ?」
「確かに、結人くんのやり方であってるといえばあってるのですが、もも様クラスの動画になると、再生数、ユーザーの動向、タイトルとタグの関連性など他の条件で圧倒的な差がある上に、動画の本数が多いので競争率が高くて……」
「……つまり、俺のような雑魚に勝ち目はないと」
「はい」
「まっ、このボクがページ設定してるんだから当然ですけどね!」
「……誇られても弱るな」
色々頑張ったけど、やっぱし俺なんかには無理だったのかな……。
「安心してください結人くん。裏ワザがあります。」
「裏ワザ!? 本当か!?」
「ボクがもも様とアカウントを共有してる話はさっきしましたよね?」
「それが、どうかしたのか?」
「ボクはもも様の動画のタグを自由に変えることが出来ます」
「ああ、そういうことか! 間切の動画を俺の動画に合わせればいいのか!」
藍那の話を要約するとこういうことだ。
間切の動画についてるタグに合わせても、他の条件で圧倒的に劣っている俺の動画は間切の動画の関連動画に表示される可能性は低い。
それなら、俺の動画に新しいオリジナルタグをつけて、それと同じタグを間切の動画につけ、前からついていたタグをいくつか消してしまえばいい。
簡単に言うと、間切の動画のタグの一致率を意図的に下げる&俺の動画のタグの一致率を上げて、いい勝負できるとこまで持っていこうってことだと思う。
「……ってことは競争率を下げる為に500本全部じゃなくて一部抜粋して間切の動画のタグを変更するってことであってるか?」
【俺の脳内イメージ図】
間切の動画(通常)
↓
間切の動画(オリジナルタグを追加した動画)
↓
俺の動画(オリジナルタグを含む)
こんな感じで動画を見る人が流れてくる。
「そういうことです」
「俺も成長しただろ?」
「……そうですね」
そう言うと藍那が俺の方へ近づいてきた。
藍那の手が差し伸ばされ、俺の頭に触れる。
「よく頑張りましたね」
頭に触れた藍那の手が俺の髪の毛を揺らす。
髪の毛越しでも手の暖かさが伝わってきて、俺は火照ってしまう。
「ありがとな、藍那」
きっと、俺は藍那が居なければここまで来れなかっただろう。
「ボクはお礼を言われるようなことなんてしてないですよ」
「んなことねえよ、お前が居てくれて心から良かった」
そう言うと藍那は俺の頭から手を離した。
「んなこと……あります」
……えっ?
「……ボクが居たこときっと後悔しますよ」
―――――このときの俺はこの言葉の意味を解すことが出来なかった。
その後、なんで後悔するのか藍那に何度か問うたが、全てうやむやな返事をされてしまった。
そんな雰囲気の中、動画(土下座謝罪)が完成して無事投稿を終えた。
……翌日。
学校へ登校すると、教室には久々に間切こももの姿があった。
「おはよう」
間切に声をかけると下を向き、うつむいた。
「……なんで」
何で?
「挨拶するのに、理由なんているのかよ」
「なんであんなことしたのかって聞いてんの!」
「あんなこと?」
「これ」
間切はスマホを取り出すと、昨日俺が投稿した土下座動画を見せてきた。
「別に、俺が何しようがお前に関係ないだろ」
「……あんたは、ユーチューバーになるんじゃなかったの?!? なのに、なんで頭下げて、こんなっ……! 動画、投稿してんの!!」
「だから、別にお前にかんけーしn──」
パシン
「こっちの気持ちも考えてよ!」
俺は間切にビンタをお見舞いされた上に、怒鳴り散らされた。
「は? 俺はお前のためにしたんだっつーの」
「もういい」
間切はそう告げると鞄を掴んで帰ってしまった。
――――――――――――――――――――
あとがき
ワンポイント秘話
作者「このタグを合わせて人気の動画に寄生する、スパムタグは昔流行ったけど、現在は出来ないらしいよ」
藍那「時代も進化してますから、、ボクの由来のCorei7も今や最強格じゃなくなっちゃいましたし。また兄妹の新キャラを登場させる必要があります」
作者「す、鋭い指摘だ!!」
「藍那が最強キャラで良い」「作者が新キャラ出すと大変だろ」「読者も藍那パワーで有名になりたい!!」
と思った方は、フォロー、★評価をよろしくお願いします。
どれも感謝ですが、評価、フォロー、応援の順で嬉しいです。
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まだ押してないよ! めんどいんだよ!
https://kakuyomu.jp/works/16818093086100014766
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