第4話 【MOVIE1】YouTuberで一獲千金してやろうじゃねェか!
ん?
なにやら聴き覚えのある声が耳に響いた。
「つかつうかさ結人、あの子、めっちゃ可愛いくね!?」
と
桃色がかった髪の毛、パッツン前髪のボブ。間違いない。
気づけば俺は声をあげていた。
「お前は!」
「あー! なんであんたここにいるのよ!」
「こっちの台詞だ、バカ女!」
「ゴホン。静粛に」
俺たちの会話は担任によって遮られた。
「「すいません……」」
俺と彼女は、ほぼ同時に謝罪をする。
「ええっと、
「な、仲良くなんかないです! ちょっと顔見知りってだけですから!」
バカ女改め、間切こももは俺の後ろの席へ座った。
「明日は始業式! 解散!」
始業式か。めんどいな。
こっちはすぐにでも次のバイト先見つけないといけないのに。
――ちょんちょん
「ねぇ」
後ろの間切に話しかけられた。
「なんだ」
「どうなのよ」
「は?」
「怪我の具合、どうなのよ」
心配してくれるのか?
真衣くらいにしか心配されたことのない俺はその言葉が素直に嬉しかった。
「平気だよ。まだ少し痛むけど、生活に支障が出るほどじゃない」
「……そう。なら良かった」
ホッと、息を溢しながら間切は微笑んだ。
うざいくらいが取り柄のやつと思ってたけど、こいつも笑えば可愛いじゃん。
「でも生活費がヤバいんだよな。ほら、俺のバイト先無くなったじゃん? だから新しいバイト探さないと」
そう言うと間切の笑顔が消えた。
「なんであんたはバイトなんて非効率的なことをしてんの?」
毎日同じことの繰り返しで楽しい?」
前言撤回。
やっぱし、こいつうざいだけが取り柄のバカ女だわ。
俺だってしたくてしてんじゃねえつーの。
「お前には関係ないだろ」
「いいから答えて」
「るっせえな……」
イラついて思考停止した俺は言葉が見つからず、数秒の間ができた。
「妹のためだよ」
お前みたいに裕福そうで、育ち良さげなスーパー美少女さんには分からないだろうよ。
美少女自称しちまうくらいなんだから、さぞ甘やかされてきたんだろーな。
「やっぱりそうだったんだ……」
間切はポツンと呟いた。
「バイト以外に稼ぐ方法があるって言ったらどうする?」
「どうするかなんて言われてからじゃないと分かんないだろ」
「それは言葉のあやでしょ、あんたはどーしたいか聞いてんの!」
……そんなの!
「したいに決まってる! 教えろよその方法ってやつを!」
真衣のためなら、俺は……何だってやってやる。
「わかった、分かったから唾飛ばさないでくんない?」
「悪い。──その方法とやらはどんなんだ」
「YouTuberにならない?」
その言葉を聞いた時、俺の身体にイナズマの如き戦慄が走った。
――――――――――――――――――――
あとがき
ワンポイント秘話
作者「バイト以外に稼ぐ方法があったらどうする!?なんて言われても怪しいマルチ商法にしか聞こえんだろ」
こ「だから、あなたは底辺なのよ」
――――――――――――――――――――
今から結人の成り上がりの道が始まります。 こももの言葉が強いですが、あと3話ほど温かく読んで頂けると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます