第3話 【MOVIE1】オ●ニーとS●Xの違いを見せてやる
【MOVIE1】
平凡じゃない人生を過ごしたい。そう思ったことはないだろうか?
大豪邸を持つお嬢様に拾われたい。
死神のノートを拾って世界征服してやりたい。
美少女に連れられて宇宙人、未来人云々と青春を謳歌したい。
夢を見ても得られるのは一時の興奮だけで、夢が覚めた後には今の興奮は無駄で現実は何も動いてはくれないんだという虚しさに気づく。
そんなものは“オナニー”と同レベルの醜い行為だ。
夢が覚めて現実に戻れば冷たい非情な風に晒され、辛くて苦しい思いをする羽目にあう。
心が病めばまた夢を見たくなり、人は快楽に走る。
人はそんなループの中で生き永らえているのだ。
その事に気がついた時、俺は同時にループを抜け出す方法にも気がついた。
聞きたいか? 聞きたいに決まってるよな?
聞いてください……。
このゴミみたいなループを抜け出す方法は大きく分けて2つある。
1つ目は夢を無駄な行為だと決めつけ、一切夢を見ないことだ。
無駄な時間を過ごすことは無くなるし、夢と現実のギャップに苦しむことも無くなる。
言うならばこれは“オナ禁”と言うやつだ。
だけど、それってくっそつまらなくないか?
そんな諸君の為に別回答を教えよう。
2つ目の方法、それは、現実を夢と同等、もしくはそれ以上にしちまう事さ。
言うならばこれは“セックス”だ。
この物語は“オナニー”から“セックス”への昇華を遂げた俺の1コマである。
俺の名は
どこにでも居るごく平凡な高校生だ……った。
ある日俺の人生は大きく変わってしまった。
何で変わっちまったかというと……
俺の両親が逮捕された。
横領罪。
ビッドコイン?というオカルトにハマって終いには会社の金にまで手を出して監獄行きになった。
そのせいで俺と妹の真衣は置いてきぼり。
片っ端から親族に引き取ってもらえるように頼みこんだけど『犯罪者の子供』扱いされて誰も引き取ってくれなかった。
ほんと、無責任な奴らだ。
だから、俺だけは責任ある親代わりとなって真衣を養うと決めた。
毎週楽しみだったジャンプやマガジンを買うのをやめたし、日課だったスマホゲーへの重課金もやめた。
……やめるしかなかった。
それから名字を改名して、未成年でも住める賃貸を探して、学校も転校して、住民票が無くても出来るバイトを探して、バイトandバイト。
そんな俺は今日、高校2年へと進級する。
俺の通う高校、
新しい教室に着くと、担任が自己紹介を命じた。
そんなこんなで俺の番が回ってくる。
「
他人に紹介できる自己など、今の俺にはこれくらいしかない。
てか、いらない。
真衣を養うためには全てを捨てなきゃいけなかった。
「キッモ。悲劇のヒロイン気取り?」
「いやいや、頑張ってる俺カッコイイアピールで点数稼ぎしてんだろw」
あぁ!_? なんなんだ、偉そうにお前らは。
残念だが、都内屈指のヤンキー校の民度はこの程度だ。
――ちょんちょん
突然、右から指ちょんされた。
「つかつうか、何だよ結人今の自己紹介。どこの陰キャやねん」
「陰キャなんてどうして気にして生きなきゃいけないねん」
こいつは
明るめの茶髪、メンズノンノを開いたら居そうな髪型、「つかつ~か~」が口癖なのか一人称なのかよく分からない奴。
友達と呼べるかは怪しい。やば、俺、友達おらんやん。
「陽キャか陰キャで学校生活はガラリとか変わるべ、陽キャで居ないと損よ損」
「とか言う割にお前、他の陽キャ()の奴らとはあんましツルんで無いよな」
「げ、げぇっ、べ、別にそ、そんなことねえし」
「ふーん」
『げぇっ』って、オイ。俺しか話す相手居ねえんじゃねえの?とツッコミたくなったが、寛容な精神で許してやった。
そんな自己紹介も終盤に差しかかった頃、やつは来た。
「ここで皆さんに新しいお友達を紹介しまーす!
ジャララ
ドアが空いて誰か入ってくる。
「
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あとがき
ワンポイント秘話
作者「名字を変えたり未成年で賃貸借りるなんて出来るの?」
結「それはツッコミ入れちゃマズい」
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次の4話から生きる自己啓発本こと、間切こももと結人が絡み始め物語が動きだします。ラブコメ読みたい方は7話までどうかお読みお願いします!!
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