第19話

 即ち―敵の料理には、異物を入れてやり…味方には、その嵩を増やしてやったのだ。


 食べたいさかりの青年達の胃袋を、天性の料理センスで掴み取り―


 実は、この刑務所内で、最も成り上がった人間の一人に、数えられる迄となった。


「ミノ…

 手に入ったぜ?煙草ネッコ…と、ライターな?」


「お、サンキュー?」


 信じ難くも房内で、堂々と一服しながら、検閲を逃れた雑誌をめくる、実…


 遂に、彼は―


「おい、ホリキチ」


「何だい?ミノちゃん…」


「お前…マジで、彫師?」


「そうだよォ…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る