第31話

 俺は仕事では、一寸厳しいぞ?

 覚悟しろよ?」


「はい…頑張ります」


 果たして―監禁生活で筋力が落ち、作業のコツも掴めぬ浩生に取って―初めての肉体労働は只々辛く、苦しいばかりの物だった。


 たった一日で、作業着は油塗れになり―更に、泥で汚れた彼は、汗と涙を拭く暇も無く、肩で息をしながらも―必死で働くのみであった……。



「…『こんにちは』。

 花奈…」


 紅いミニバラの、小さな花束を携えて―スーツ姿の浩生が現れた。


「…『久し振りね』…?


 『浩生さん』……」

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