第30話

 呆れ返る程に、単純な粗忽っ振りだ…佳一は、苦笑して―工房の鍵と、玄関のスペアキーを手にした。



「七菜…

 御免ねー…待ったでしょ?(汗)」


 息を切らしている伽那子に、七菜は笑って応えた。


「だーいじょーぶだよー?

 そんなに、かわんないし…


 こないだ、オキガサでかえっちゃって…また、もってくるの、わすれちゃったから……

 あめがふるまでに、かえろ?」


「え?雨…?」


「うん。

 さっき、せんせいから、きいたばっかり…

 おかあさんが、しらないの…しょうがないよ……?」


「…うん…(恥)

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