第25話

 『靴の足型を取る時の手が、とても丁寧で、温かくて…

  さぞや、優しい旦那様なんでしょうね?』とも、仰有ってたっけ……


 矢っ張り、上手くやってるじゃないの?

 この、詐欺師」


「~るせ…(照)」


「兔に角(溜息)。


 デザインは全て、アンタに御任せとの事だから…


 納期は、一ヶ月でいい?」


「フン…余裕だね?」


 佳一は、そう伽那子に答えるなり、顧客の足型を、それを収めた棚から取り出して、作業を始める…彼女の口許が、再び綻ぶ……


「じゃ…七菜を、保育園に連れて行くから。


 鍵…掛けるわね?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る