第20話

 だが、何時もの如く―彼女は無言……


 千歳の母が、溜息混じりに、ちとせを促す。


「…御疲れ…?


 貴女も、此方こっちへ来なさい…

 優一くんが、晩御飯を手伝ってくれてね―」


 その言葉半ばで、千歳は背を向けて応えた。


「外で食べて来たから、要らない…!」


「千歳…!」


 彼女の父が、思わず声を上げたが―


「宿直が終わった所で、疲れてるの。


 御免なさい……」


 彼女はものに、踵を返すばかりだった……。


「…仕様が無いな(嘆息)。


 済まん、優一くん…」


「いいえ……」

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