第8話

 ガシャ―…ン!!


 肩紐が千切れた黒いランドセルが、宙を飛んだ。


 黒い土瀝青アスファルトに、紅く染み広がって行く、夥しい液体…


「………!」


 千歳は、その場にくずおれる。


 彼女を庇い―トラックに撥ね飛ばされた優一が、だまりの中に、倒れている…


 信じ難い程に―穏やかな微笑ほほえみを浮かべた表情かおで、じろぎもせずに……。


「川…崎、くん…?


 嫌ァ―…ッ!!」

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