第6話

 先刻さっきの失言を謝ろうと、千歳は口を開く―


「…あのねっ、川崎くん―」


 しかし、優一は…彼女の言葉を遮った。


「烏山さん。


 もう僕には、関わらない方がいいよ?


 じゃ…さよなら」


 優一は、ランドセルを背負い、独り教室を出て行く…


 千歳は、ただ一人残った教室で、取り返しの付かぬ後悔に、泣く事しか出来なかった……。



「さよなら」


「…さよなら…」


 千歳と優一が、挨拶を交わすだけの間柄に戻ってから、幾日か経った。


 優一が、普通に挨拶を続けてくれるだけでも、十分だ―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る