第49話

 細目のメタルフレーム眼鏡。

 キチンと着ている、藍色のネクタイスーツ…丸で、真逆まぎゃくだった。


「…そうなんですよね…?


 僕は…

 昔、『海神純哉』で……」


 どんな人間、だったんでしょう……?

 こんな「僕」って……


 有砂さんは……

 敢えて話さなかった……。


 ゆっくりと―純哉は、車のエンジンを掛けた。


 ブロロ…


 純哉ので―涙が光っている…


 …憶えてます…

 最初の記憶……


 昏睡状態の僕と、結婚して…

 珊瑚を産んでくれた、有砂さん……


 とても…嬉しくて……

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