第32話

「有砂!?

 お前は未だ、あの海神と…!?」

「あなたは、騙されてるのよ!?

 目を覚まして!?

 有砂!?」


 父母の声は、もう届かぬ―有砂は小走りで、純哉の車へと急いだ。


「純哉!」

「おそーい…(嘆息)」


 車が発進する…煙草を吹かしながら、純哉は云う。


「オマエも、オトナなんだからさ…(笑)

 ドーンと独りで、マンションにでも住めよ?」


「…うん。

 真剣ほんきで考えてるトコよ?」


 有砂の意外な応え…純哉は北臾笑む……。


「へー?よーやく、決心したんだ…?

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