第30話

 オマエにしか、俺の夢は語れないんだ…

 だから…さ……?」


「……うん……」


 純哉の車が、磯子邸の玄関先で、はすに停められた。

 何時もの様に、独りだけで車を降りた、有砂だったが―彼女は初めて、取って返し…純哉に云った。


「純哉…

 ちょっと、父母おやに挨拶してくれないかな…?」


「…はぁ?」


 純哉は、肩を竦める…有砂は、敢えて続ける。


「私のうちの事、話したよね?

 純哉がホントは、純粋で優しい男性ひとだって…少しでも、理解わかって貰いたいの!?」


「…俺に…土下座でも、しろってのか?」

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