第29話

 然り、気紛である筈が無い…純哉は、有砂の純情に付け入り―己の数奇な出生しゅっしょうの秘密をも、己に貢がせる格好の手段として、最大限に利用したのだ……。



「…これが、『アイのアカシ』。


 『愛してる』…証拠」


 純哉は、車のダッシュボードに在る、グローブボックスを開け…一枚の「婚姻届」を取り出して、有砂に示す……


「嘘……!?」


「俺…身寄居ないだろ?

 だから、こーゆーモノに、『愛』を感じるワケ。

 意外にカワイイ…?」


「………」


「俺の真剣ほんき度、分かる?

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