第19話

 純哉は、哭いた…


 然し、その想いは叶わず―その器官が機能するには、至らなかった。


 有砂が彼から離れるなり、彼の萎えた儘の其処から洩れ出た物は、敷布シーツを濡らして染み広がる、唯の排泄物だけであった……。


「ごめんなさい…有砂さん……

 うっ…うっ…

 ごめんなさい…!」


「純ちゃん…」


 羞恥と自責で嗚咽しながら、只管有砂に詫び続ける、純哉…


 そんな彼を、切ない程に愛しく感じて、有砂は涙を零しつつも、彼を優しく抱き寄せる……


「僕が…あんな事、言ったから……!

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