第5話

 有砂が純哉の傍迄、珊瑚を連れて来た瞬間とき―純哉に、奇蹟が訪れた。


 ゆっくりと、純哉の瞼が動き…彼は、目覚めたのだ。


「…あ…なた、は…?」


「―!?」


 有砂は直ちに、医師ドクターを呼ぶ……


「…磯子純哉さん…?」


 医師ドクターの呼び掛け―


「…だ…れ…?


 あ……?」


医師せんせい…?」


 明らかな異変が、純哉の言動に表れている……。


 一連の検査が行われたのち…程無く下された、医師ドクターの診断は―


「…全生活史健忘ですね……


 事故の後遺症が、精神面にも……」

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