第4話

 そして…娘の届出は、速やかに受理され―男は…死ななかった……。



 斯くなる決断から、七ヶ月後―有砂は、娘を産んだ。


 海が大好きだった、「夫」―


「男なら、『けい』…

 女なら、『珊瑚』…


 …綺麗だから」


 彼の言葉通り…「珊瑚」と、名付けた。

 「父親」そっくりのみどりは、とても愛らしい顔立をしている……。


 純哉は、容態が安定し―既に、一般病室へ移されていた。

 昏々と眠り続ける、彼……

 その穏やかな寝顔が…却って、切なさを誘う……


「珊瑚…お父さんよ…?」

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