第3話

〝夫になる人 海神わだつみ純哉じゅんや


 「愛の証」だと云って、彼が見せてくれた書類…

 その、一枚の紙は…病床に作り付けのサイドテーブルに、ずっと置かれていた……。


 更に、娘は…男の子供を、妊娠していた。

 既に子は、三ヶ月…遂に彼女は、ペンを握り締めた。


〝妻になる人 磯子いそご有砂〟


 彼女の両親は、終始二人の交際に反対し…彼女が、磯子家の一人娘であるが故に、頻々彼女を激しく叱責もした……再び彼女は、ペンを取る。


〝婚姻後の姓 磯子〟


 天涯孤独だった、男…独法師ひとりぼっちの儘で、逝かせたくない……!

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