第45話

「だから…


 そんな存在にだけは、なりたくなくて…


 赤ちゃんが、おなかに居る時から…


 特別養子の話をしてた……」


「………」


「なのに…


 貴方の手紙一つで、その養子縁組を断って…


 とんだ最低女でしょう?


 その上…


 貴方の愛情が、愛にしか向けられないからって…


 自分の娘に、嫉妬迄……


 当たり前なのにね?

 こんな、女……!」


「珠実さ―


 あッ!?」


 上がり口の玄関マットの上に、草司は背中から倒れ込んだ。

 涙を浮かべた珠実が、彼の体に腰を落とし…彼の唇を吸う……

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