第38話

「!


 だから、何!?


 虐待しか知らない男に…

 『父親』の何が分かるの!?」


「御言葉ですが、貴女も…

 『母親』の何を、知っていると?」


「!!」


「…御容赦下さい……


 信じられないでしょうが…

 『君の子供が生まれた』と、彼に伝えた時…

 彼は、『良かった』と言って、泣いたのです……」


「………」


 裁判が結審し、草司が受刑者と成ってからも、唯一人の弁護士が、手弁当で、草司を支えていた。

 その弁護士が齎した逸話は、珠実をハッとさせはしたが―矢張、彼女の心は、動かなかった。


 そして……

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