第25話

 ショートカットにした黒髪を中分けにし、チャコールグレーのロングコートを羽織る、端正な顔立の清春…


 綺麗に磨かれた黒い革靴を、心持ち身を屈めて履く彼の首元に、フワリと―


 ベビーピンクのマフラーが掛けられる……。


「小町…?」


「や……!?」


 「辞めないで」―その言葉を敢えて殺し、小町は涙をこらえながら、彼に言った。


「ヤクザにだけは…

 戻らないでねっ…!?」


 清春の首にくるまる、温もり……


 彼は指先でソッと、小町の呉れたマフラーに触れた。


「…小町……


 ああ…

 分かったよ…?

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