第68話

 車両の残骸が、僕の身体からだに…


 小雪に、近付けまいとするかの様に―次第に、重力を乗せて来る……



「…~畜生っ…


 て…


 ぐッ…


 うぁあああ―……!!」



 巨大な鉄の凶器に、我武者羅に抗って…


 僕は…そいつの重圧から、解放された……。


 やっと…君の傍に、辿り着けた……


 僕の血で、君を汚さない様に…


 僕は、強引に君を抱き寄せて―


 君を背負って、歩いた……


 不思議と、痛みを感じなくなって…


 君の温かさと、柔らかさ…

 甘やかな匂いに…僕は、満たされて行ったんだ……。

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