第28話

「悠庵さま…!」


 …カラン。


 杖が、地面に転がった。


 ゆっくりと悠庵は、義手の右腕に、左腕を添え…さえをいだいた。


 彼女も又、彼の胸の中へと、その身を預けた……。


「…全て失ったと、諦めていた……


 帰るところも、生業なりわいも…


 人としてのていも、男としてのぶんも……」


「……!」


「だが…

 御前は、諦めずに…


 医者となって、療養所をおこし…


 私を迎え…

 全て、受け入れてくれた……」


「………!」

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