第27話

 坂を下り…川沿いの道へと出る、二人……


「御前と、こうして…

 歩きたかったんだ……」


「悠庵さま……」


 左足を軽く引き摺りはするものの―悠庵の足取りは、しっかりとしている…


 杖を握る、左手の袖口から―さえが拵えた、腕貫が覗く……


 さえは、思わず目を伏せる…

 悠庵は、歩みを止め―義肢の右手で、腕貫を示し…微笑って云った。


「…これはとても、気に入っている…


 私自身を戒めるのにも、御誂え向きだからね…?」


「悠庵さま…?」


「阿片煙草には、一生手を出さない……


 御前に誓うよ…!」

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