第20話

「さえ、往診に行くよ?

 手を貸してくれないか…」


 髪を整えて、十徳じっとくを羽織り―右腕に新しい義肢を着け、新しい杖を左手に携える、悠庵…

 その肩に、往診用具を入れた包を背負わせる、さえ……


「今日は、川向こうですね?

 小平次さんに、宜しく…

 御気を付けて」

「うん…


 何かあったら、遠慮無く…

 御前の助手を、遣いに出せよ?(笑)


 じゃ…!」


 診察室の勝手口前で、微笑み交わし合う、さえと悠庵…


 阿片中毒を完治し、元の健康を取り戻した悠庵は、意外にも年若く、理智的で端正な面相の青年である……

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