第14話

 療養所の、診療室―


 往診に出掛けるさえを見送った悠庵は、その横奥の座敷へと移動し…膝を崩した格好で、座布団に座る……


 医師の白衣こそ着ている物の―今も不健康そうな、異形の男…

 好印象等、いだける訳が有るまいに……


 それは悠庵自身、嫌と云う程、判っている……


 さえ…

 一体、何を考えてるんだ……?


 俺は、医者に…

 戻れやしないだろ?


 そう―悠庵は確かに、医師であった。


 五体満足だった…六年前迄は。


「…たく、さえ医師せんせいの酔狂には、付いて行けないよ…?(溜息)」

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